食品工場では、以前より、多くの技能実習生の受入れが行われています。
今回は「そう菜製造業職種」での受入れ企業の要件について解説します。

1.受入れ企業の要件について

(1)そう菜製造業であること

そう菜製造業職種(そう菜加工作業)の技能実習生を受入れる企業は、大量製造用調理機械を使用し、食材原材料の下処理、炊く、茹でる、揚げる、炒める、煮る、焼く 、蒸す、合(和)える等の調理加工及び殺菌処理等によりそう菜加工品を製造する企業であることが要件となります。

<そう菜の定義について>

そう菜とは、そのまま食事として食べられる状態に調理されて販売されているもので、家庭・職場・屋外などの任意の場所(いわゆる中食の環境)で調理されることなく食べられるように、食材を炊く、茹でる、揚げる、炒める、煮る、焼く 、蒸す等の加熱調理及び非加熱調理の洗浄・殺菌処理や合(和)える等の調理加工により、衛生的に製造し、即食可能な加工食品をいいます。

即食とは、水などの素材を加えることなく、また加工食品の物性を変化させるような加熱調理を行うことなく、そのまま食すること、若しくは適温に温める程度で食することをいいます。

<そう菜製造の定義について>

※そう菜製造は「大量調理施設衛生管理マニュアル」を適用したものであること。(下記①及び②、又は下記①及び③)

① 1回300食以上又は1日750食以上を提供する調理施設
※食数で表現できない場合は、1種類当りの1日の生産量を個数や重量で提示し食数換算の条件を示します。

② 加熱調理食品の加熱温度管理に従い、温度と時間の記録を行うこと。
※加熱調理食品の加熱温度管理は、標準作業書に従う必要があります。
※標準作業書は、「手洗いマニュアル」、「器具等の洗浄・殺菌マニュアル」、「原材料等の保管管理マニュアル」、「加熱調理食品の中心温度及び加熱時間の記録マニュアル」を指します。

③非加熱で調理する食材の洗浄または殺菌の管理に従い実施記録を行うこと。
※標準作業書・是正マニュアルに従う必要があります。

<そう菜製造業の定義について>

一般的には、和風そう菜、洋風そう菜、中華風そう菜、野菜サラダ等の各種そう菜加工品製造の他、これらと主食(米飯・パン・麺類等)を組み合わせたお弁当やおにぎり・お寿司、調理パン、調理麺等の複合加工食品を製造する業種をそう菜製造業といいます。

(2)食品衛生法に基づく営業許可を取得すること

そう菜製造をする場合、食品衛生法に基づく営業許可を取得する必要があります。
下記表のピンク色の部分のとおり、現在は32業種に分けられています。

(出典:厚生労働省HP)

なお、食品営業許可は、最近の法改正で、「要許可業種の再編「と「要届出業種の定義」が行われました。

(出典:厚生労働省HP)

下記の表は営業許可の改正前後の対比表です。これも併せて転載しておきます。
食品営業許可_0001ダウンロード→資料ダウンロード

(3)HACCPに沿った衛生管理を行っていること

HACCPが制度化されたことから、HACCPに沿った衛生管理を行っていることが必要となります。

HACCP(ハサップ)」:「Hazard(危害), Analysis(分析), Critical(重要), Control(管理), Point(点)」の頭文字をとってできた造語。食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法。

(4)確認書類

・そうざい製造業(サラダ、煮物、揚物、焼物等の製造) の関係営業許可書
・複合型そうざい製造業(HACCPに基づく衛生管理を行う惣菜の製造) の関係営業許可書
・飲食店営業(弁当、調理パン等の製造であり、外食は対象外)の関係営業許可書

2.技能実習生が従事できる業務内容について

(1)必須業務 (実習時間全体の2分の1以上)

技能実習の最初の1年間は技能実習1号、その間に検定をパスすれば、技能実習2号に移行して更に2年間の実習が可能です。そう菜製造業職種では、1号と2号それぞれで以下の必須業務が定義されており、実習時間全体の2分の1以上はこの必須業務が占めているような計画を立てる必要があります。

そう菜製造業職種については技能実習3が定義されており、2号終了後にさらに2年間の実習が行える可能性があります。実習実施者(受入企業)と監理団体が共に「優良認定」を取得し、実習生が検定に合格することが技能実習3号へ移行の条件となっています。3号では、2号の必須業務に加えて「品質管理基準に沿ったHACCPシステムに基づく基準逸脱是正措」や「指導」という項目が含まれてきます。

(2)関連業務 (実習時間全体の2分の1以下)

関連業務とは、実習時間全体の2分の1以下の範囲で、実習生が従事することができる業務です。
1号・2号・3号すべてに共通で、次の作業が可能です。
 ①原料入庫検品作業
 ②漬け込み・成型カット作業
 ③盛り付け作業及び計量作業
 ④冷凍作業及びレトルト殺菌処理作業
 ⑤製品の仕分け作業
 ⑥製品の包装作業
※お問合せの多い配達給食サービス業における配達、配膳及び接客の作業は除外されています。

(3)周辺業務 (実習時間全体の3分の1以下)

周辺業務は実習時間全体の3分の1以下の範囲で、実習生が従事することができる業務です。
1号・2号・3号すべてに共通で、次の作業が可能です。
 ①加工工場内清掃作業
 ②加工工場内運搬作業
 ③包装品の梱包作業
 ④出荷作業
※お問合せの多い配達給食サービス業における配達、配膳及び接客の作業は除外されています。

(4)安全衛生業務

安全衛生業務は、上記の必須業務・関連業務・周辺業務のそれぞれの中で、10分の1以上の割合の時間をかけて、実習生が従事しなければならない業務です。
1号・2号・3号すべてに共通で、次の作業が定義されています。

①安全衛生
1.雇入れ時等の安全衛生教育
2.作業開始前の安全確認
3.そう菜製造職種に必要な整理整頓
4.そう菜製造職種の調理用機械設備等及び周囲の安全確認
5.衛生保護着等の着用と服装の安全点検
6.安全装置の使用等による安全な作業
7.労働衛生上の有害性を防止するための作業
8.異常時の応急措置を修得するための作業
9.そう菜加工作業における事故・疾病予防に係る安全衛生

②食品衛生
1.作業者の衛生管理
2.調理器具の衛生維持
3.製造用機器等の衛生維持
4.作業終了時の作業場の清掃等による衛生維持

3.まとめ

最後に、一般社団法人外国人食品産業技能評価機構のホームページに、上記の必須作業や関連業務の範囲について、分かりやすい図がありましたので、ご紹介いたします。

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(出典:一般社団法人外国人食品産業技能評価機構)

以上です。そう菜製造業職種(そう菜加工作業)で外国人技能実習生の受入れを検討中の企業様は、ぜひご連絡いただければ幸いです。

4.参考資料

 

   

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